周桑物語

皆さんもご承知の通り蚕は桑の葉しか食べません。
そう信じられています。私もそう信じていました。
色々と試したことはありますが蚕は桑の葉ともう一つの葉しか食べません。
「え!!!!もう一つ食べる葉っぱあるんですか?」その回答はもう少し後にさせていただきます。
なぜ、蚕は桑の葉しか食べないのでしょうか?
また、桑の葉は自然界でも蚕のほかに好んで食べる虫を見たことがありません。
「エリサン」とか「ヨトウガ」という蛾の仲間は多くの種類の葉を食べることのできる幼虫として知られていますが、それらに桑の葉をやっても噛むまではいきますが、食べ進むことはありません。とても不思議ですね。
これを解明するために、まずは桑の葉に含まれる生命のエネルギー源である糖分を分析することにしました。
分析方法は、高速液体クロマトグラフィーという方法です。
分析した結果、一番多かったのは「ショ糖」という私たちが砂糖と言っている糖質でした。
次に多かったのは「ブドウ糖」です。私たちの血液に含まれ、細胞内のミトコンドリアでエネルギーを生産するために必要な糖質です。
そして次に多かったのは「果糖」という果物に豊富に含まれる糖質です。
その他の糖質も含まれているようですが、主要なものはそのくらいです。
(②に続く)
周桑物語

蚕は孵化すると幼虫の期間には5回の脱皮を行います。

脱皮前には必ず眠というじっとして動かない時間があります。
おそらく、体が大きく成長しようとする前には、何もしない時間が必要なのでしょう。
大きな変化が訪れる前、あるいは大きな成長の前には、なぜか体が動かしにくい時間が私たちにもあるかもしれません。
体をその変化に合わせようと準備しているのでしょう。蚕のように焦らずにその状態に時間を決めて前向きに受け入れていると、それを乗り越えたときにはきっと大きな成長が待っていることでしょう。
写真は、小さかった1令幼虫が脱皮を終えてたくましい2令幼虫になったところです。
周桑物語

またまた走査型電子顕微鏡(SEM)写真です。何の写真かわかりますか?
生まれたての蚕の皮膚です。
2,700倍に拡大するとこのように観察することができます。
この写真からは、蚕の皮膚は折りたたまれて伸縮に耐えられる構造になっていることなどが理解できます。
まさに、蚕の“センスオブワンダー”です。
周桑物語

生後2日目のお蚕さんたちは食欲旺盛です。
朝に新鮮な桑の葉を与えるとすぐに葉っぱに登って頭を上下に動かしている様子が観察できます。
夢中で葉を食んでいるのでしょう。すぐに葉っぱは穴だらけになります。
「はらぺこあおむし」みたいに食欲旺盛です。
エリックカールさん著の『はらぺこあおむし』に登場する幼虫は、月曜日にりんご、火曜日には梨、水曜日にすもも、木曜日にいちご、金曜日にはオレンジ、土曜日にはチョコレートケーキとアイスクリームとピクルスとチーズとサラミとペロペロキャンディーとさくらんぼパイとソーセージとカップケーキとスイカを食べてお腹を壊します。
その後の日曜日には緑の葉っぱを食べたことで回復して元気になるという皆さんもご存じの物語です。
ほとんどの蝶や蛾の幼虫は、こんなにいろいろなものを本当は食べません。
夢を壊すようで申し訳ありませんが幼虫はかなりの偏食です。キアゲハはパセリ、アゲハは柑橘類の葉、そして蚕は桑の葉というように。
それはなぜだろう?いろいろ思考を巡らせてみてください。
周桑物語

蚕の幼虫の皮膚といえば白っぽくツルっとした感じなのですが、生まれたての蚕は黒くて毛も生えている気がします。
これは確認しなければと思い、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察してみました。
ちなみにSEMは今治工業高校の環境化学科にあります。
今回紹介する写真は以前に今治工業高校で撮影したものです。
その写真でわかることは、生まれたての蚕は剛毛であることです。
なぜ生まれたて蚕は毛だらけで生まれてくるのでしょうか。