蚕で探究 その④

周桑物語

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ということで、高校生たちはキトサンを作るための材料を集めることにしました。

瀬戸内海の燧灘に面する彼らのふるさとでは、当時、カニではワタリガニが、エビではシバエビやシャコエビが豊富に水揚げされ、日常的に食卓にのぼっていました。

まずは各家庭で食べられたものの殻を回収することにしましたが、思うように回収が進みませんでした。

そこで、先生に相談したところ、先生の行きつけのお店に頼んでワタリガニの甲羅やシャコエビの殻、さらにはイカの軟甲(スルメイカなどの透明な羽根のようなもの)を回収して冷凍保存してくれることになりました。

これらの材料は、どんなに綺麗に水洗して乾燥させておいても、日ごとに悪臭を漂わせてくる厄介な特徴があり、彼らの実験室でもしばしば苦情が寄せられるほどの悪臭が問題になっていました。

キトサンの原材料が入手できることだけでなく、お店の業務用冷凍庫で保管していただけることも、彼らにとってはありがたいことでした。

このように地域の皆様の協力があり、十分な量の各種原材料を準備することができたのです。

そしていよいよキトサンの調製実験を実施しました。いろいろな材料でキトサンを調製しましたが、方法は以下のような同じ方法で実施しました。

細かく切断した各種原材料に含まれる炭酸カルシウムを除去するために2N塩酸に48時間漬け込んだ後、タンパク質を除去するために1N水酸化ナトリウムで36時間煮つめました。また、必要に応じて色素を除去するために次亜塩素酸ナトリウムに漬け込むこともありました。それを乾燥させたものをキチンとしました。

このキチンをフラスコに入れて、還流管を取付け40%水酸化ナトリウム中で115℃で6時間煮つめ、それをよく水洗いし乾燥させるとキトサンの完成です。

実際に実験に使用するキトサンは、希酢酸に溶かしたキトサン溶液を水酸化ナトリウムで中和することでできるコロイド状のキトサンを使用しました。

この実験方法は『キチン・キトサン実験マニュアル』:技報堂出版1~17ページを参考にしました。

この実験では、この時に使用した「イカ軟甲」「ワタリガニ甲羅」「シャコエビ殻」の成分組成(どんなものがどのくらい含まれているか)がわかりました(図1,2,3)。

この結果を見て、圧倒的にイカ軟甲がキチンを多く含んでいることがわかり、今後の実験にはイカ軟甲製のコロイド状キトサンを使用することに決められました。

【蚕で探究 その⑤に続く】

※この物語はノンフィクションです。